国際いけ花協会

いけ花体験レッスン

いけ花体験レッスン

 みなさんは、「いけ花」というものにどのようなイメージをお持ちでしょうか?
 もしかしたら、敷居が高くて堅苦しいといったイメージを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 実はいけ花は、堅苦しいどころか、驚くほど親しみやすいものなのです。
 もともといけ花は、野山に咲いている草花や枝などをとってきて室内に飾って楽しもうという発想から始まったもの。特別な道具が必要なわけでもなく、格式にとらわれる必要もまったくありません。もちろん、服装だって自由。いけ花は、日常生活の延長線上にあるクリエイティブな世界なのです。
 では、実際のいけ花のレッスンはどのように行われているのでしょうか。
 さっそく体験レッスンの模様をご紹介していきましょう。

まずは花器選びから

 いけ花のレッスンは、まず花器を選ぶところから始まります。花器には、素材一つとっても焼き物、塗り物からガラスまで、形も筒状や球状のシンプルなものから抽象性の高い複雑な形のものまで、様々な種類があります。あまりにたくさんのバリエーションがあるためか、初めての方はどの花器を選んだらよいのか迷ってしまう方もいらっしゃいますが、あまり考え込まずに直感でお好きなものを選んでいただくようにしています。
 もちろん、いけ花は総合芸術ですので、花器選びは花材と同じくらい大切なもの。全体のバランスとの調和は重要です。でも、堅苦しく考え過ぎても柔軟な発想は生まれません。例えば、籠やスープ皿。そんなどこの家庭にあるものでも立派な花器になるのです。初心者の方には、新しいものを発見し、美しいものを創造していこうという積極的な気持ちを大事にしながら、花器選びを楽しんでいただければと思っています。

花材の確認と準備

 花器が決まると、実際にいける準備に入ります。
 今回の体験レッスンの花材は、赤いガーベラとかすみ草、ジンジャーの葉、木の実のついたドライの枝。こうした取り合わせのように、生の花だけでなく、ドライの枝など生のもの以外の素材を積極的に活用していくことも、国際いけ花の特徴の一つです。
 花材を確認したら、萎れた花や汚れた葉は取りのぞき、さらに水に浸す部分の葉は、いけた時に水が腐るのを防ぐために取ってしまいます。
 続いて、剣山の用意。今回は、日月形剣山を選んでみました。これは、お日様のように丸い形のものと、お月様のように蒲鉾のような形をしているものの二つがセットになった剣山です。二つ別々に使ってもいいのですが、並べたり重ねたりして組み合わせて使うと安定性が出ますので、初心者の方には使いやすい剣山です。
 花器の底に剣山を設置したところで、花をいける準備は整いました。

主枝をいける

 初めてのレッスンでは基本型を学びますが、今回の型は〈立心型〉。「国際いけ花」の型の中でも、初心者が最初に学ぶ型です。
 まず始めに、主枝と呼ばれる作品のメインとなる3本をいけますが、その最初にいけるものを第一枝といいます。この第一枝は作品の中心的存在となるため、最も長くいけます。具体的な長さは、花器の直径と高さを足した寸法が目安。いける角度も決まっており、花器に対して垂直にひいた線から10度の角度で剣山にさしていきます。つづく第二枝の長さは第一枝の4分の3で、角度は垂直線から40度。第一枝と同じ方向に傾けます。第三枝は第二枝の2分の1の長さで、今度は先ほどの2本とは反対の方に垂直線から70度の角度のところにいけていきます。
 第一枝、第二枝は木もの、第三枝は草ものにすると調和がとれやすくなりますが、今回も最初の2本は枝とし第三枝をガーベラとしました。枝をメインにもってくると赤い花が引き立ち、秋の季節感が出てきますね。

バランスを整えて完成

 3本の主枝が出来ましたら、次はそれを補足していく段階に入ります。
 ここからは、細かい数値的な決まりは一切ないので自分の感性にしたがって自由にいけてくださってよいのですが、いくつか守るべきポイントはあります。それは、(1)主枝をささえるイメージで、(2)主枝より小さく、(3)剣山が見えないようにいけること。この3つの原則に従いながら、今回の花材であるかすみ草、ガーベラ、ジンジャーの葉を次々と加え、空間をうめていきます。剣山にささりにくいかすみ草のような細い茎は、あらかじめ3センチくらいに切って剣山にさした枝の中に入れていくと、きれいに仕上がります。
 この段階では、一枝加えるごとに作品の表情が変わっていくことを実感しながらいけていただければと思います。仕上げの作業は楽しくてついつい手を加えたくなってしまうものですが、全体のバランスが整ったら完成にしましょう。

自宅でも復習を

 きれいに出来上がった作品に、水を入れたらレッスンは終了です。
 立ち上がって、ご自分の作品をあらゆる角度から鑑賞していただいてもよろしいですし、記念に写真を撮っていただいても結構です。ほかの方の作品と比較してみても、違った感性にふれることができ、勉強になるでしょう。
 せっかく完成した作品ではありますが、レッスン終了後は花器から花材をすべて取り、各自でお持ち帰りいただくことになっています。これは、ご自宅でも是非レッスンの復習をしていただきたいという思いからお願いしていることですが、生徒さんには、復習になるという点に加えて、ご自宅に本格的な作品を飾ることができるという点からも、ご好評いただいています。

 以上、体験レッスンのご紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
 いけ花の楽しさは、心の中で草花と対話している感覚が味わえること、そしてそのことによって気持ちが癒されていくことにあります。体験レッスンを通して、こうしたいけ花の魅力を十分に感じていただくことができたならば、大変うれしく思います。